中之条ビエンナーレ2017 その②
前回(中之条ビエンナーレ2017 その① )のつづき。
次は旧第三小学校へ。
関係性の操作 ナディア・ソラーリ
動物のはく製と消費される商品たち。
どこかかけ離れたイメージの組み合わせだけど調和がとれていて面白かったです。
生と死の間 パドゥンサク・コチャソムロン
ピンクの窓から刺す淡い光がどこか現実とは切り離された空間のようで美しかったです。
追悼オブジェクトの崩壊 キッサコーン・ブアターオ
崩れゆく椅子や机の中にあるいのちが燃え尽きるように感じました。
窓から見えた山々。
どこの芸術祭でも廃校や廃屋が用いられます。
そうした空間ではかつてそこにあった人間の営みや、生きることや死ぬこと、そうしたことを考えさせられるような作品がよく似合いますね。
これを都会の美術館で見たとしても、もしかしたら「ホ~」と通り過ぎてしまうのかもしれません。
次は旧沢田小学校へ。
到着したときから何人もの人の笑顔で迎えられます。
こもれび、こだま、風の色 花輪奈穂
浮かぶイメージの間を通り抜けると
この土地での作者の出来事を追体験しているような感覚になります。
ふとふりかえるとこいつがいました。
タイトル等ひかえわすれましたが、その立ち姿にはわすれえぬ存在感があります。
The Mediterranean landscape No.5 田口一枝
インスタ映えのやつです。
イスラエルの景色 ファリド・アブ・シャラク
近づいてみると、紙に無数の穴が空いていたり糸が縫われていたりして面白かったです。白と黒で表現された戦闘機が印象的でした。
たまに自衛隊の航空祭などで見る戦闘機などとは大きく違う、現実味のある暗いイメージを持っていて不気味ささえ感じました。
今度は花楽の里へ。
旧沢田小学校から向かったのですが、霧の峠を越えて行くのが少し大変でした。
束ねる 齋江貴志
六合の人々はいつも何かを束ねています。
束ねることで六合を表現したい、そう考えました。
さらに十二みますへ。
生活の身近にあるようなテーマだったので1番興味を持った作品です。
鹿を殺める日 中川祥吾
狩猟免許をとった作家が鹿と猪を仕留め、
解体する記録映像を中心としたインスタレーション。
解体などの残酷な部分の多くは写真のスライドショーになっていました。
殺す瞬間は映像であって、そのときの鹿の目が可愛らしく残念でした。
殺されたあとにブルーシートに載せられているそれらは
先ほどまでと打って変わって物質的で、
さらに皮を剥がれてしまえば全く別の物のようです。
映像ではわりと淡々と物事を追っていて、よくありがちな「尊い命だからありがたく大切にいただきましょう」のような美談的なものにしていないのが良かったです。
その中でも生きているものを殺すことへの戸惑いやためらいがみられ、こうしたプロセスを踏んで生き物を食べることがたいへんなことだということがわかりました。
動物を食べることをやめてから今の自分の中でそれは悪ですが、
だからといって他人のそれを否定しようとは思いません。
それぞれの人間にそれぞれの考える正しさがあるからです。
人間の田畑を荒らすような、いわゆる害獣とよばれるようなものを殺すことをしなければ山村の人々はまともに暮らしてゆけないのが現実であり、もしかしたらそこには正しさや悪というものも存在しないのかもしれません。ただ必要であるから狩りを行う。その過程の中で出た肉を食べる。それだけなのかなあと思います。
VICE Japanの方にこの方のインタビューと
狩りの仕方についても詳しく書かれていたのでリンク貼っておきます。
Who Are You?:中川祥吾さん(33歳) 小学校教諭 | VICE JAPAN
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今回はパスポートの元をとろうと、作品を中心に見てまわりましたが、中之条には石仏や神社等面白そうなところがいっぱいあったので会期が終わる前にあと1回くらい訪れたいと思います。
・・・おまけ・・・
中之条町のマンホール
町の花ヤマユリと、町の木ケヤキにとまる町の鳥ウグイスが描かれています。
庚申供養塔