賢治さんゆかりの地蔵堂とたくさんの石碑
宮澤賢治『春と修羅 第2集』にある「地蔵堂の五本の巨杉が まばゆい春の空気の海に・・・」で始まる詩に登場するのがこの花巻市にある地蔵堂です。
鳥居にかかっている三角の扁額(へんがく)には地蔵堂と書かれています。
三角のものってあまりみたことがないような気がします。
鳥居のすぐそばには巨杉の切り株と思われるものが。
現在では詩にあるような5本の杉は1本ほどしか生き残っていないようです。
切り株からは新しい木が。
右の建物が地蔵堂。
左は伐採した御神木を納めているところです。
お堂の中。
ここにも奉納剣が!
子持ち巨杉樹根
昭和54年の台風で杉の1本が倒れてしまったことをきっかけに、
切り倒したものをおまつりしています。
胎内くぐり
くぐれそうかな?と思いましたが
詰まって抜けなくなったらやだな・・・と思いそのままスルーしました。
かつては各所から参拝者が訪れ安産祈願をしたそう。
このなかにはそれぞれ石碑がまつられていました。
桜華山延命地蔵尊碑
なんと正保2 (1645)年の建立だそう。
その名が示すようにここは桜の名所でもあるようです。
雷神。
観世音。
上の写真の碑の周りには珍しい実がなっていました。
このときは「なんだこの実?」と思いつつ忘れていましたが、先日とあるブログを見ていたら同じ実の写真を見つけ、ノブドウの実ということが分かりました。
観世音、水神、和讃念仏塔、
青麻三光尊・・・薬草を用いて人々の病を治す仏様
七庚申塔・・・七年目の庚申の日で、七庚申の年は豊作、五庚申の年は凶作という言い伝えがあるそう。
庚申とは庚申待の略でこの庚申の日に眠ると三尸(さんし)の虫が身体から抜け出て天に罪を報告しにいってしまうので、みんなであつまって徹夜する日のことです。
ちなみに宮沢賢治はこの庚申への信仰が厚く(興味が強く?)、「庚申」というタイトルの詩も書いていたそう。
観世音、出羽三山
秋葉三尺坊大権現(火伏せの神として知られている)
出羽三山は湯殿三山・月三山などとも表現されるようです。
庚申待
早池峰山・岩鷲山
岩鷲山・早池峰山
疱瘡神(ほうそうがみ)
疫病神の一種で,疱瘡をもたらすと信じられた神。疱瘡はかつて最も恐れられた疫病の一つ
三宝荒神(さんぼうこうじん)
仏・法・僧を守護するという神。俗に,不浄を嫌うことから火の神にあて,かまどの神としてまつる。神仏習合によって生じ,修験者がつかさどることが多い。荒神。
などの石碑もあり、この一帯だけでも50あまりの石碑が置かれていました。
なかなか見ごたえのある場所でした。
神社などをまわっていて、昔はあまり石碑というものに関心はなかったのですが(難しくて読めない漢字が多くて!)、少しずつ調べていくうちに、その地域やそこに住んでいた人々のかつての様子が見えてくるようで面白いな~と思うようになりました。
特に道ばたや畑にある石碑や石仏はより地域に密接しているような気がして好きです。